熱貫流率(U値)とは部位の熱の通りやすさを表す数値です。
熱貫流率が小さいほど断熱性能が高いことを表します。
外壁や床などの一般部位、および窓・ドアなどの断熱性能を判断するときに使用します。
一般部位の熱貫流率は以下の式で求めます。
[熱貫流率] = 1 ÷ [熱抵抗の合計]
外壁や屋根などは複数の材料などで構成されていますので、まず構成する各層の熱抵抗を求め、それら熱抵抗計の逆数が部位の熱貫流率となります。
熱貫流率を計算するためには、まず住宅の断熱仕様を確認します。
各部位に使用されている断熱材の種類と厚さを調べます。
断熱材の種類によって熱伝導率が変わります。
熱伝導率と厚さがわかれば熱抵抗が計算できます。
なお、窓・ドアの熱貫流率は一般部位と扱いが異なっています。
また、基礎断熱・土間床の線熱貫流率も一般部位と計算方法が異なります。
熱抵抗(R値)の計算
熱抵抗とは、材料や空気層の熱の通りにくさを表す数値です。
熱抵抗が大きいほど断熱性能が高いことを表します。
表面熱抵抗(表面熱伝達抵抗)
一般部位の室内側・外気側表面には表面熱伝達抵抗(表面熱抵抗)というものがあり、熱貫流率を計算する場合はこれらの表面熱抵抗を考慮しなければなりません。
表面熱抵抗は、部位の種類によって下表のように定められています。
室内側 | 外気側 | |
---|---|---|
外壁 | 0.11 | 0.04 |
天井・屋根 | 0.09 | 0.04 |
床 | 0.15 | 0.04 |
屋根、外壁の外気側に通気層がある場合、天井の外気側が小屋裏の場合および床の外気側が床下の場合は、外気側の表面熱抵抗の値は室内側の表面熱抵抗と同じ値にします。
熱抵抗の合計
断熱材などの材料の熱抵抗と表面熱抵抗(室内側と外気側)を合計します。
複数の層になっている場合は、それぞれの熱抵抗と表面熱抵抗を合計します。
たとえば、断熱材と仕上げ材が複数の層になって重なっている場合は、断熱材の熱抵抗値と仕上げ材の熱抵抗値を計算し合計します。
熱貫流率の計算
部位の熱抵抗合計の逆数が熱貫流率です。
[熱貫流率]=1÷( [外気側表面熱抵抗] + [熱抵抗計] + [室内側表面熱抵抗])
熱抵抗計は各層の熱抵抗の合計値です。
部位の熱貫流率の計算
充填断熱の木造建物には木材熱橋となる柱や梁などがあり、一つの部位に複数の断面構成が存在します。
そのため、断熱部と熱橋部の各断面の面積比率を考慮した上で、その部位の熱貫流率を求めなければいけません。
このような場合は詳細計算法と面積比率法という計算方法があります。
窓・ドアの熱貫流率の計算
窓・ドアの熱貫流率は、外壁や天井などの一般部位と異なります。
基本的には窓仕様で熱貫流率が決まりますが、二重窓、付属部材や風除室がある場合は、計算で熱貫流率を求めます。
基礎断熱・土間床の線熱貫流率の計算
基礎断熱・土間床の線熱貫流率は通常の部位と計算方法が異なります。
鉄骨造(S造)の熱貫流率の計算
鉄骨造(S造)の熱貫流率を計算する場合は、補正熱貫流率を考慮しなければなりません。
補正熱貫流率は省エネルギー基準で表が用意されています。
また、熱橋の線熱貫流率を考慮する必要があります。
線熱貫流率は熱橋の仕様に応じ省エネルギー基準で表が用意されています。
鉄筋コンクリート造(RC造)の線熱貫流率
鉄筋コンクリート造(RC造)の熱貫流率を計算する場合は、熱橋の線熱貫流率を考慮する必要があります。
線熱貫流率は断熱補強の有無、熱橋の形状、室の配置などに応じ省エネルギーで表が用意されています。